中心アファイン極小曲面は中心アファイン計量の面積積分の停留曲面として得られる中心アファイン曲面であり、固有アファイン球面の可積分な意味での一般化ともなることが知られている。中心アファイン極小曲面は中心アファインチェビシェフ作用素のトレースが消える曲面としても特徴付けられるが、従来知られていた例は中心アファインチェビシェフ作用素自身が消えているため本質的には新しくない。平成21年度では、中心アファインチェビシェフ作用素が半単純でない中心アファイン極小曲面について調べ、中心アファイン計量の曲率が一定のものを分類する中で新しい例を発見した。一つはラドンによって得られていた中心アファイン曲面を自然に一般化するものであり、もう一つはマイヤーG関数によって記述されるものである。また、中心アファィン計量の曲率およびピック関数が一定の中心アファイン極小曲面を分類した。更に、古畑とフランケンによって部分的な解答が得られていた、自己合同中心写像をもつ中心アファイン曲面と中心アファインチェビシェフ作用素が消える曲面との関係について完全な解答を得た。 また、黒瀬俊氏(福岡大学)との共同研究により、平成20年度までに研究した曲線の運動のハミルトン系としての特徴付けについて更に発展した考察を行った。より具体的には、離散化を伴う複素双曲線上の曲線の運動を考え、複素双曲線上の閉曲線のなす空間に無限個のプレシンプレクティック構造を導入し、シンプレクティック幾何的、リーマン幾何的な考察を行った。 また、研究にあたっては陶山芳彦氏(福岡大学)、小磯深幸氏(九州大学)、石村直之氏(一橋大学)、古畑仁氏(北海道大学)を始めとする人々との交流が大いに刺激となったことを付け加えておきたい。
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