研究概要 |
平面のシュタイナー比は1990年にドとファンによって求められたが,その証明にギャップがあり,完全な解決になっていないことを我々は指摘した。同様なことを南アフリカ大学のピーター・オロフ・ド・ウェットも我々と同じ時期に彼の学位論文の中で指摘していた。本年度に,その論文を詳細に調べ,平面の7点までの場合のシュタイナー比は正しく求められていると判断した。これを,非負曲率のアレキサンドルフ曲面のシュタイナー比を求める方法に活用する。その際に,ルービンシュタインとウェンが提唱した三角形の圧縮定理が重要な役割をする。その定理の証明の元になるトポノゴフの比較定理を回転面を参照空間として研究した。特に,トポノゴフの定理が成立するための一つの条件について考察し成果を上げた。今後は,これらの成果を踏まえて,非負アレキサンドルフ曲面の7点以下の場合のシュタイナー比を求める証明の詳細を詰めることである。また,CAT(k)曲面に対しても三角形の圧縮定理の証明に成功したので,CAT(k)曲面上の最小シュタイナー木の長さの計算に利用できる状況になった。 平面凸ビリヤード問題では,配位空間での平行線の理論と位相空間でのビリヤードボール写像で不変な可縮でない閉曲線との関係を明らかにし,平面の円をビリヤード軌道の性質で特徴づけるビアリーの定理の別証明を与えた論文が印刷された。また,配位空間での測地線の幾何学を用いて,配位空間の直線と稠密軌道の存在に関する成果を研究集会で発表した。
|