研究概要 |
Mがコンパクトリー群Gの可微分作用をもつときに、D_G(M)(L_G(M))をコンパクトな台をもつ同変イソトピーによりMの恒等写像とイソトピックな同変微分同相(リプッシッツ同相群)全体のなす群とする。ここでは,D_G(M),L_G(M)の1次元ホモロジー群を求めて,この結果に関連した応用分野の研究をすることが目的である。 H_1(D_G(M))については,これまでにMが余次元1の軌道をもつ場合と余次元2の軌道をもち軌道型の個数が2の場合,およびGが有限群の場合はこの構造を完全に決定した。この結果から任意の可微分軌道体についてもH_1(D(M))の構造を決定することができる。これらの結果からコンパクトハウスドルフ葉層多様体の葉層構造を保つ微分同相群の1次元ホモロジー群の構造を決定することができる。またGがモジュラー群の場合に,軌道空間の微分同相群の1次元ホモロジー群がモジュラー群の構造との関連性があることが示される。 L_G(M)の場合はコンパクト開位相の場合とコンパクトリプッシッツ開位相の場合で構造が大きく異なっている。コンパクトリプッシッツ開位相の場合はGが有限群の場合にD_G(M)は完全群であることが証明される。その一方でコンパクト開位相の場合には標準的なU(1)作用もつ複素平面Cの場合にはH_1(L_<U(1)>(C))にモジュライがあることが証明される(H18研究発表論文)。 平成18年度はSL(2,R)の離散部分群Γが上半平面Hにメビウス変換として作用する場合に軌道空間H/Γの微分構造を調べた。この結果H/Γのベクトル場のなすリー環がH/Γの微分構造を決定することが証明される(H18研究発表論文)。またΓがtriangular groupの場合にH/Γの微分構造がΓの群構造を決定することも証明できることが分かる。またコンパクトリプッシッツ開位相の場合にはL_<U(1)>(C)が完全群であることが証明できる。 平成18年度は海外の研究集会や幾つかの大学で研究発表を行い関連する研究者との研究打ち合わせを行った。
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