研究概要 |
本年度の研究は、平成18年度科研費補助金応募書類研究計画調書「研究計画・方法」欄および平成20年度科研費補助金交付申請書「研究実施計画」欄に記載した計画に基づいて実施された。 まず、Dehn quandieやコードのquandleを用いたLefschetzファイバー空間の分類や不変量の構成に関しては、実現には至らなかったものの、Zablowのquandleホモロジー類や鎌田聖一氏・長谷川功氏によるquandle不変量によるアプローチの有効性を見出すことができた。また、鎌田氏によるチャート表示を用いたLefschetzファイバー空間の同型判定も実行しうる研究課題であることが認識できた。手がかりさえない状況にあったこのテーマについて研究の端緒を見出すことができたのは大きな収穫であった。 次に、Y.Z.Gurtas氏(セントルイス大学,デポー大学)との共同研究については、平成20年8月に2本のプレプリントを書き上げeprint arXivに投稿して一応の区切りをつけた。1つは曲面の周期3の周期写像の正のDehnツイスト表示と新しいLefschetzファイバー空間の具体例の構成に関するものであり、もう1つは写像類群のlantern関係子と4次元多様体の有理ブローダウンのある関係を述べたものである現在これら2つの論文は専門誌に投稿中である。特に後者については何人かの研究者から直接メールで感想が寄せられ、その中の1人であるT.Mark氏(ヴァージニア大学)や安井弘一氏(大阪大学・学振特別研究員)との新たな共同研究が始まっている。 尚、平成18・19年度に得られたChakirisの第2定理に関する研究結果は、森田茂之氏還暦記念論文集の中の一論文として平成20年12月に日本数学会より出版された。
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