研究概要 |
この研究は有限群Gに対し,球面上の作用における不動点の近傍を研究するものである.滑らかな作用の不動点における接空間は実G-表現空間とみなせ,この接空間に関するSmith問題と呼ばれる有名な未解決問題がある.Gが球面に唯2個の不動点a,bを持って滑らかに作用しているとき,a,bでの接空間V,WはSmith同値であるといわれる.「Smith同値なV,Wは実G-表現空間として同型か」というのがSmith問題である.E.Laitinenは群の要素の共役類の個数を用いた予想を立て,Smith問題の研究における道筋を提案した.群Gの要素で位数が素数巾でないものの共役類を考え,その個数をa(G)と記す.E,Laitinenは「GがOliver群でa(G)>1ならば同型でないSmith同値な表現V,Wが存在する」と予想した.本課題研究では (1)Gap群でない非可解群GでLaitinen予想が成り立たないものの存在 (2)非可解なgap群についてはLaitinen予想は肯定的であるを示した.さらに,踏み込んで次の結果を得た.NはGの正規部分群でG/Nがnilpotentである最小のものとする.PSm(G)はG-表現環の部分集合で,P-matchedでSmith同値なV,Wが定める[V]-[W」の全体とする.このとき, (3)Oliver群Gの2-Sylow群が正規部分群で,さらにG/Nが位数2あるいは3の巡回群いくつかの直積であるときPSm(G)を決定した.
|