研究概要 |
研究実施計画の役割分担に従って、下記の研究成果を得た。 1.下村はRavenelのスペクトラムT(m)を用いて、戸田-SmithのスペクトラムのようにBPの普遍正則列だけで考えられていた関スペクトラムの商のホモトピー群を普遍正則列以外の列による商スペクトラムを考え、素数2の場合の計算可能性をT(1)/(v_1)を$E(2)$局所化したスペクトラムのホモトピー群を実際に計算して示し、それと対比する形でその他の素数でのホモトピー群の計算の困難さを示した。さらに通常の普遍正則列による商スペクトラムを考察することにより素数2でT(1)/(4)をE(2)で局所化したスペクトラムのホモトピー群のある部分群をAdams-Novikovスペクトル系列を考察してその2,3,4,5番目のフィルトレーションの部分を完全決定することにより決定できた。また、局所化された圏の特異性を計る指標でもあるピカール群についても有限局所スペクトラムを持つスペクトラムのBousfield局所化の類の成す順序集合とそれに対応するピカール群の成す包含に関する順序集合は同型であることを示した。さらに、mod p Eilenberg-McLaneスペクトラムで局所化した圏のピカール群が局所化しないものと同じ、すなわち、整数環と同型であることも示した。特にこれらの事実から連結なスペクトラムにより局所化された圏のピカール群は整数環と同型であることが分かる。 2.大川はピカール群を考察する際問題になるBousfield局所化の類の集まりの本質的な性質を主に考察した。 3.疋田は実際の計算において重要な役割をえんじるアダムススペクトル系列に関する考察を色々な代数的立場から行った。 4.中井は下村と共にT(m)に関した普遍正則列以外の列による商スペクトラムに対しての複雑な計算部分をコンピュータを用いるなどして計算結果の迅速さ、正確さを求めた。
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