形式的変形量子化の幾何学的実現としてのContact Weyl多様体とその自己同型群の研究: Contact Weyl多様体は1998年ころ吉岡朗氏により、Fedosov量子化と大森・前田・吉岡-量子化をつなぐ掛け橋として導入された概念であり、本質的にスター積(形式的変形量子化)の幾何学的な実現と見なされる(別の幾何学的な実現の方法として、Deligne相対類(大森・前田・吉岡諸氏らはPoincare-Cartan類と言う名前で呼んでいる)から定まる「滑らかな亜群構造」がある。様々な状況で現れる特性類に対応した対象の幾何学的実現として亜群構造の研究は今後の重要な方向性を与えている)。 本年度は主にこのように導入された構造の自己同型群についての考察をおこなった。具体的には、自己同型群を記述するのに必要な関数空間のセッティングや古典シンプレックティック微分同相群との関連、そして無限次元Lie群としての構造の導入が主な目標であったが、それが実際に定式化され更に証明された。より具体的には、(コンパクトサポートをもつ)シンプレクティックベクトル場全体のなす空間とプランク定数に関する形式的なベキ級数環の積空間に適当な位相を入れた空間をモデル空間として滑らかな多様体の構造が入り、積演算などが滑らか出来ると言うことが分かった。さらに古典的なシンプレクティック微分同相群とこの自己同型群との間にはある短完全系列の存在することが分かった。今後このような考察はシンプレクティックファイブレーションの変形量子化を行う際に現れるであろう構造群を明示する際に本質的な役割を果たすであろうと思われる。
|