研究概要 |
形式的変形量子化の幾何学的実現としてのContact Weyl 多様性とその自分同型群のモデルスペースおとび幾何学的な構造に関する研究:1970年代に形式的変形量子化の概念が提案されて以来、その存在、構成、分類などに関して開発な研究がなされてきたが、それに関連して特に底多様体がシンプレクティック多様体の場合に形式的変形量子化の構成法として知られていた「Fedosov 量子化」と「大森・前田・吉岡-量子化」をつなぐ掛け橋として、1998年ころ吉岡朗氏によりContact Weyl 多様体と呼ばれる概念が導入された。これは本質的にスター積(形式的変形量子化)の幾何学的な実現と見なされる(別の幾何学的な実現の方法として、Deligne 相対類(大森・前田・吉岡諸氏らはPoincare-Cartan類と言う名前で呼んでいる)から定まる「滑らかな亜群構造」がある。様々な状況で現れる特性類に対応した対象の幾何学的実現として亜群構造の研究は今後の重要な方向性を与えている。)。本年度はこのように導入された構造(スター積、形式的変形量子化)に関する自分同型群Aut(M,*)について、「無限次元リー群としての構造」、「その衣相的な性質」、「このようにして得られる群と古典的な(無限次元リー群としての)シンプレクティック変換群との関係」等をしらべた。その結果、「自分同型群Aut(M,*)の無限次元リー群のモデルスペースとして考えられている空間がヒルベルト空間のようなある意味有限次元空間のアナロジー的なものではなくMackey完備な区所凸線形位相空間になっていること」、「シンプレクティック変換群の元を自分同型群として持ち上げることが可能なこと」かどがあきらかになった。特に後者の結果とそこで使われた議論は自分同型群Aut(M,*)の位相的な性質や、この群からシンプレクティック変換群への全射準同型に関するセクションを調べる上で今後重要な道具になると思われる。
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