研究概要 |
本年度は非可換幾何学とりわけDixmier-Douady類の幾何学的対応物であるgerbeでひねったTwisted vectorial bundleと以前筆者により導入されたspin亜群というものを直接組み合わせることにより、Dixmier-Douady類を反映させたtwisted spin connectionの候補を考察して、その基本的な亜群作用に関する変換法則について計算を行った。 亜群の非可換幾何学研究への重要性は“twisted K-theoryの作用素論的な定義とbundlegerbe moduleによる定義"に深く関係していることからも容易に想像がされることではあるが、実際に亜群という概念を意識しながらいろいろなものを眺めていると、実は亜群構造が様々な場面に(陰に)現れていることに気がつかされる. この先に見える話題としてはスピン亜群に同伴するスピノールバンドルをTwisted vectorial bundleで捻ったところ(Dixmier-Douady類に対応する亜群に同伴するモデュロイドのセクションのなす空間)に作用するディラックを考えたり、その同変版を考えたり、局所化を考えたりということがあるかと思われるが、筆者自身では詳細については詰めきれていない.今の設定では、閉多様体でない場合を考えなくてはならないという大きな障害があるからである.とりわけ ・その熱核に付随すべき適切な境界条件をどのように設定するか? ・指数、射影やそれに対応する特性類の受け皿・器などをどうするか? などが難しい問題として残っている.無論、twisted K-theory,あるいはtwisted Cech-deRham理論が非常に重要な役割を担っていることは想像に難くない.それらの関係を詳細に調べることは今後の重要な課題としたい.
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