研究課題
現在まで多角的視野から非可換幾何学への研究考察が行われてきた。たとえば、作用素環論の立場、あるいは幾何学的漸近解析など様々な立場が考えられるが、微分幾何学的立場からはプランク定数を形式的とみなす形式的変形量子化の立場がもっとも受け入れやすく、またそこを探り針あるいは足掛かりとみなして、プランク定数を本当の数と考える立場もありうる。いずれの立場でも、非可換幾何学の研究において、与えられた古典的な空間(多様体)上の関数空間のPoisson構造方向への変形や、多様体の上のスピンあるいはスピンC構造に関するDirac operatorに関する研究は最も基本的な課題である。またスピンあるいはスピンCでない場合その多様体の上でClifford解析やDirac作用素やさらにその指数定理を考察することは極めて難しいが基本的課題と考えられよう。本研究ではそのような場合をも含む統一的視点にたって、一般の閉多様体の関数環・構造層の変形に関する考察を行うことをおこない、これらの視点に立って(3次元)複素射影空間の正則Poisson構造方向への変形ならびにスーパー複素射影空間のodd方向への変形について考察を行った。それらの結果は、掲載予定の論文"On non(anti) commutative super twistor spaces"に記されているが大まかにその要旨を述べると「3次元複素射影空間の構造層の正則Poisson構造方向への変形の可能性とそれによって得られる非可換結合積に関して(斉次2次式の)指数計算を行い、その結果が底多様体の層係数コホモロジー類を定義すること、さらには、スーパー射影空間の反可換積の変形に関する考察をおこない、その結果非反可換方向への変形が可能で、非反可換結合積の定義できること、それが本質的にClifford代数の構造を与えること」に証明を与えた。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (1件)
Geometric Mechanics(RIMS, Kyoto University)
ページ: 1-3