研究概要 |
本研究においては,ユークリッド空間の平均曲率一定曲面,3次元双曲型空間の平均曲率一定曲面,ガウス曲率一定曲面およびそれらを一般化した線形ワインガルテン曲面を主に研究した.扱った曲面は特異点を許容するものであり,大域的研究においてはとくに,曲面と言うよりはむしろ波面と呼ばれるのが適切なものである.今年度は次の三つについて成果を得ることができた.(1)3次元双曲型空間の平坦波面のエンド(端)の形状に関する漸近挙動についての最終的結論.実際,エンドの漸近挙動はその増大度のオーダー(ピッチと呼ばれるもの)が支配的であることが証明された.(2)3次元双曲型空間において,平均曲率から1を引いたものとガウス曲率が比例するようなワインガルテン曲面(通称BLW曲面)について,表現公式の導出およびその応用.(3)BLW曲面に関連して,三次元双曲型空間の曲面の平行曲面の初等的性質と,その双対と解釈されるドゥジッター空間の曲面との関連性の性質をまとめた. 以上の内容に関してプレプリントを執筆し((1)に関しては連携研究者Rossman氏らとの共著)学術雑誌および国際研究集会プロシーディングスに投稿した.また,Bulgarian Academy of Sciences(ブルガリア・ソフィア)において開催された国際研究集会「9th International Workshop on Complex Structures, Integrability and Vector Fields」での講演のほか国内の研究集会(RIMS研究集会等,計5件)でも研究成果について講演を行った.
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