研究分担者 |
陶山 芳彦 福岡大学, 理学部, 教授 (70028223)
濱田 龍義 福岡大学, 理学部, 助教 (90299537)
川久保 哲 福岡大学, 理学部, 助教 (80360303)
山田 光太郎 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (10221657)
井ノ口 順一 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (40309886)
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研究概要 |
古典的微分幾何を多角的に研究し,主として以下のような成果を得た。 1.可積分系方程式の一つであるバーガース方程5が付随する複素双曲線内の曲線の運動をハミルトン系として記述し,さらに離散バーガース方程式が付随する離散曲線の運動を定式化した。また,同様に澤田、小寺方程式が付随するアフィン平面曲線の運動に対してもハミルトン系としての記述を与えた。 2.ヘッセ断面曲率が一定のヘッセ多様体について,曲率が0ないし正の場合を分類し,さらに負の場合にこれまで知られていない新しい例を構成した。こうして「標準的な」ヘッセ多様体が未だ部分的ではあるが決定できたことにより,今後のヘッセ幾何研究の新たな基礎を与えた。 3.3次元ユークリッド空間内の曲線の弾性エネルギー汎関数に対する変分問題に関して,その臨界点として得られる周期的キルヒホッフ弾性棒のエネルギーがパレ、スメール条件を満たすことを示した。これは不安定臨界点の構成や安定な周期的キルヒホッフ弾性棒の分類問題に対する重要な手がかりを与えるものである。 4.曲面上のカスピダル・クロスエッジと呼ばれる特異点の判定条件を与え,それを用いて3次元ミンコフスキー空間の極大面の一般的な特異点を分類した。 5.3次元等質空間の一つであるSol内の極小曲面に対するワイエルシュトラス型の表現公式を与えた。 6.複素射影平面内および複素双曲平面内の実超曲面で,第二基本形式が擬平行であるものを決定した。また,複素射影空間内および複素双曲空間内の実超曲面で,*-アインシュタイン条件を満たし,さらに正則分布が積分可能であるものを決定した。これらは複素空間形内の実超曲面の分類問題に対する新たな成果である。 7.量子情報幾何に現れる幾何構造の一般化として,振れを許す統計多様体を定義し,その基本的な性質,特にアフィン空間の分布としての実現可能性と前ダイバージェンスの性質を明らかにした。この研究により,分布のアフィン微分幾何の量子情報幾何における応用に先鞭をつけた。
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