研究概要 |
確率微分方程式で記述された拡散過程の新しい近似理論である楠岡近似を可能とする新しいアルゴリズムの開発に成功し、これを数理ファイナンスの問題に適用してこれが非常に有効なものであることを実証することに成功した。このアルゴリズムは以下の様な特徴を持つ画期的なものである: (1)記号処理計算を一切行わずに、数値的手法のみにより、高次の近似(時間離散化幅に対する離散化誤差が3次のオーダーで減少する)が可能となる。 (2)適用可能な確率微分方程式について制限が無い。特に、方程式のベクトル場が非可換であっても適用可能である。 (1)(2)を満すようなアルゴリズムは、本研究の昨年度迄の研究のなかで一つ開発されている。本年度の結果はこれとは違う新しいアルゴリズムである。この両者を数理ファイナンスの問題に適用したところ、新しいアルゴリズムはより高い精度の近似を実現していることがわかった。この成果は、"A New Weak Approximation Scheme of Stochastic Differential Equations Using Extended Runge-Kutta Method" S.Kusuoka, M.Ninomiya, and S.Ninomiya, Bachelier Finance Society 2006,Fourth World Congress, Tokyo, August 17-20,2006において発表された。
|