研究課題
初年度に引き続き、無限領域での波動現象における有効な数値計算手法の確立を目指して研究を行った。特に本年度は、研究の一環として平成19年の秋に電気通信大学で国際研究集会IWAMCS2007を開催し、海外研究協力者との国際交流の場を実現し国際研究交流の拡大に努めた。その成果はその後の研究交流の活発化につながってきている。個別の研究成果として、研究代表者の加古は、共鳴極に着目した声道設計問題に対する研究成果を幾つかの国際および国内の研究集会で招待講演として発表し、研究集会参加者と音声問題や最適化問題、波動現象の数値計算法について情報交換と研究討議を行い今後の研究を発展させるための基礎固めを行った。これらの声道設計の研究成果に関連して日本応用数理学会の論文賞を受賞した。また、過渡応答問題への研究の展開を目指してFDTD法の基礎的な理論研究と、電磁場問題における送受信アンテナのモデル化とMRIへの応用に関する研究を進め、成果の一部を大学院生との共著で発表した。分担者の小山は有限水深における水の表面波の放射散乱問題に対して、Dirichlet-to-Neumann写像を用いた3次元有限要素法の事前誤差評価の導出に成功した。分担者の緒方は、波動問題への拡張を視野に入れつつ、1次元周期的に配列された無限個の障害物をすぎる2次元Stokes流対する基本解解法や、無限個の伝導体をもつ静電場の問題に対する周期的基本解に基づく境界要素法を開発した。分担者の今村は、大規模固有値計算アルゴリズムのLOBPCGについて、計算コストを軽減する要素技術について研究し、量子多体系のジョセフソン接合体における共鳴減少の解明に応用した。分担者の水藤は、振動・波動場の制御に必要なアルゴリズムについて研究を進め、遺伝的アルゴリズムと勾配法を組み合わせて大域的かつ高精度な最適化アルゴリズムの構築を行った。
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Physica C (in press)
Radiation Medicine 5月(掲載予定)
Lecture Notes in Computational Science and Engineering 60
ページ: 551-558
京都大学数理解析研究所講究録 1566
ページ: 119-131