研究概要 |
平成21年度は次の研究を行った。 (1) Unfoldされた点過程の挙動 d次元上のアンダーソンモデルにおいて、その固有値を積算状態密度の上からの評価(B.Metzger)を用いてunfoldした点過程の列を考え、そのnatural scaling limitは収束部分列を持ち、その集積点は無限分解可能な点過程であることを示した。証明は前年度での方法と同様にalmost analytic extensionを用いて問題のハミルトニアンを対応する有限系のハミルトニアンの直和により近似し、Metzgerによる結果を援用することにより行われる。エネルギーを指数的にスケールするために南評価を得ることが困難であるが、Combes-Germinet-Kleinによる方法を用いてもその困難を克服できなかった。 (2) ランダム磁場を持つハミルトニアンの点過程の挙動 ある特殊なランダム磁場を持つハミルトニアンについては2003年にKlopp,Nakamura,Nakano,Nomuraによりリフシッツテイルとウェグナー評価が示され、よってスペクトル上下端近傍でアンダーソン局在が起こる。このハミルトニアンについてその固有値及び対応する固有関数の局在中心のなす点過程の挙動を考えた。その列が無限分解可能な集積点を持つことは(1)と同様に証明できたが、Wegner評価の特殊性により南評価は証明できなかった。
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