研究課題
本研究の目的は、確率微分方程式系の差分化や時系列モデルなどで現れる確率系を一種の「確率離散力学系」とみなし、それを力学理論の観点から考察することの有効性を検証するとともに、様々な分野での同力学系の応用例について調査することにある。代表者・三澤哲也は、エネルギー・ファイナンス分野におけるリスク分析に関連して、発電設備投資の価値評価、気温オプション価格付け、ならびに気温を考慮した電力卸市場価格を記述する確率系たちを扱い、リスクを内包する系の価値を効用無差別価格によって評価することが、いわゆる確率力学系の“期待値不変量=期待値を通じての対称性"の枠組みで捉えうること、またそれが上述の諸対象のリスク評価法として有効であることを確認した。これは本研究課題の発展可能性・有効性を示す重要な結果である。関連して、連携研究者・宮原孝夫は、安定過程と最小エントロピーマルチンゲール測度に基づくオプション価格モデルならびにプロジェクト評価のためのリスク尺度と価値尺度の有効性の検討を行った。連携研究者・能登原盛弘ならびに清水昭信は集団遺伝学における確率系の研究に従事し、能登原はstructured coalescentモデルにおけるcoalescence timeの分布の導出、清水はランダム離散分布にもとづく抽出公式の再考察等を行った。連携研究者・橋本佳明は確率系ともかかわりの深い関数方程式分野において非線形楕円型方程式の解の正則性の評価法について取り組み、これまでに得られていた2階の方程式についての結果を2m階のケースに拡張することを検討した。
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Discussion Papers in Economics, Nagoya City University 第496号
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「無限分解可能過程に関連する諸問題(13)」統計数理研究所共同研究リポート 第225巻
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電力技術、電力系統技術合同研究会資料 PE-08-108PSE08-117
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Journal of Mathematical Biology(掲載決定済)
http://reswww.cc.nagova-cu.ac.ip/rd/search/researcher/10190620/index-j.html
http://www.econ.nagoya-cu.ac.jp/~misawa/