研究概要 |
統計のグラフィカルモデルにおいて扱われる分解可能モデルは,グラフ理論の分野ではコーダグラフと呼ばれ,様々な良い性質が知られている.グラフィカルモデル上では最尤推定計算が比較的容易に実行できるため,その計算には重要な意味があるが,最尤推定計算時,しばしば冗長な計算を伴い,計算困難な状況に陥る.そこで,本課題では,グラフィカルモデルでの最尤推定計算の時に直面する問題を,コーダルグラフの諸性質を用いたアプローチを用いて回避する手段を考案した. 本年度は前年度の研究に引き続き次の結果を得た. (1)コーダルグラフのperfect sequenceを全列挙するアルゴリズムの高速化と,アルゴリズムのアイデアの再考察. (2)コーダルグラフのクリーク木とperfect sequenceを同時に全列挙するアルゴリズムの提案である. 先の結果に関しては,提案した列挙アルゴリズムにおいて次の点に気付いた.すなわち、アルゴリズムの途中で構築する,「与えられたコーダルグラフに対して定義出来るクリーク木すべての合併グラフ」中には,陰に重み付きクリークグラフの辺の重みが使われているが,この性質では,コーダルグラフの性質が使われていないので,一般の重み付きグラフでも同様な定義が出来る事が判明した. 後の結果にしては統計からの「perfect seuenceのみならずクリーク木も同時に得たい」との要求に答えるための列挙アルゴリズムの開発を行った. 今後課の題は,提案した列挙アルゴリズムを,統計や機械学習で研究されるジャンクション木に関する諸構造の列挙アルゴリズムに拡張する事,及び,perct, sequenceをランダムサンプリングするアルゴリズムの関発が挙げられる.
|