研究概要 |
量子的な性質を持つ光子を信号に用いる光通信プロセスの研究は, 1980年代頃に盛んに行われていたが, その後の量子コンピューティングの研究が開始されたことに伴い, 現在では, 量子情報という, 数学・物理学・計算科学・情報科学・情報工学の複合領域にまたがる新たな分野が形成され世界的な広がりを見せ研究が行われている. 特に, 量子情報通信プロセスの数理的研究は, (1)量子情報を測る尺度の理論である量子エントロピー理論, (2)量子状態変化の理論である量子チャネル理論, (3)量子符号化の定理, (4)量子信号理論, (5)量子信号検出理論, (6)量子信号推定理論等々があり, 非可換確率論を数理的ベースとして様々な研究が行われているが, 最も重要な問題の一つの量子符号化の定理が未解決のまま残されている. 本研究では, 量子系のエントロピー理論と量子チャネル理論の研究を基に, 量子符号化の定理の完全な証明を与えることを最終目標とし, その定式化に必要となる基礎数理を地道ではあるがひとつひとつ構築していくことを目的とする.
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