低連結クローフリーグラフの構造を解析するために、2因子と独立点集合による支配の研究を行った。またRyjacek閉包を一般化して、2因子への応用を可能にする研究を行った。 2008年度のアメリカ・メンフィス大のFaudree教授らとの共同研究によって、クローフリーグラフが十分に大きい最小次数を持ち、位数が独立数に比べて十分に大きければ、任意の最大独立点集合Sに対して、適当な2因子が存在し、その各サイクルがSの頂点を一点ずつ含む(つまりSを分割する)ように取ることが出来ることを示した。 2009年度は、Kuzel博士や小関博士と共同研究を行い、この主張の自然な拡張を行った。すなわち、低連結度を仮定して、Sの分割を緩和することによって得られるクローフリーグラフの構造を解明し、次の結果を得た。「Gを最小次数3以上の1連結クローフリーグラフとする.ただし、1は2また3である.この時、任意の最大独立点集合Sに対して、適当な2因子が存在し、各サイクルはSの1-1頂点ずつ含むように取ることが出来る.」 Faudreeらとの結果では、最小次数が十分に大きいという条件が必要であったが、各サイクルが含む独立点の個数の制限を外し、連結度の下限を2または3とすることによって、最小次数の下限を最良の3にまで下げることが出来た。
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