研究概要 |
逆問題の解の直接的構成法とその数値的構成および画像処理に対する応用について、特に次の問題について研究を行った. 1.領域内電流源の電場・磁場の両方を用いた指標関数を用いた推定法の開発 2.電気インピーダンスを用いた亀裂推定逆問題に対するMittag-Leffler関数を用いた囲い込み法の開発 3.熱源推定逆問題に対する囲い込み法の開発 4.画像データ圧縮に対するPoisson方程式の逆問題の解法の応用 まず1については、電場・磁場の両方の観測データに対し、それぞれ指標関数を導入することで、磁場のみでは推定不可能であった動径方向を向いた電流源を推定可能な方法を開発した。研究成果についてはJCAM(Vol.201,2007)に発表済みである。 2については、従来の指数関数を利用した方法に比べ、亀裂のより詳細な形状の推定が可能にあることを理論的に示した。また手法の数値実装を行い、数値的にも従来の方法に対し優位であることを示した。結果については北海道大学で行われた国際会議、筑波大学において行われた国際セミナーにおいて発表した。また論文については投稿準備中である。 3については、これまでLaplace方程式、Helmholtz方程式などの楕円型偏微分方程式の逆問題について研究されてきた囲い込み法を、放物型偏微分方程式である熱伝導方程式の熱源推定問題に適用するための手法を開発した。研究成果についてはInverse Problems (Vol.23,2007)に発表済みである。 4については、JPEG画像における画像圧縮などに用いられる離散コサイン変換に対し、Poisson方程式の逆問題の考え方を取り入れた圧縮法を提案した。研究成果についてはIEEE trans.Image Processing (Vol.15,2006)に発表済みである。
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