研究課題
<目的>研究対象としてゲーム理論におけるナッシュ均衡と交換経済における期待均衡概念を取り上げ、それらの認識論的基礎付けを目的に、主に以下の2つを課題の研究を行った。課題1 認識論理モデルに対して、ゲーム理論における「ナッシュ均衡解を形成する主体間のコミュニケーション・プロセス」を確率過程微分ゲームの立場から分析し、ナッシュ均衡解の形成過程における動学的システムの数学的構造を解明する。課題2 「知識・信念の様相論理」のモデルに附随した非分割情報構造下での交換経済とそこにおける「期待均衡概念」および、経済取引を行う前後の「中間期コア概念」を導入し、「コアの同値定理」を示す。同時に、経済均衡を達成する「価格形成プロセス」と「中間期コアの収束過程」の動学的構造を明らかにする。<成果>課題1について:認識論理モデルに対して「伝達情報の欠落の可能性を含んだコミュニケーション・システム」を導入し、次の結果を得た。「各プレイヤーが他のプレイヤーの行動予測を行なう状況の戦略型ゲームを考える。プレイヤーはコミュニケーション-グラフに沿ってその行動予測の情報伝達を行ない、それに伴って各自の情報構造を精緻化し、更に自分の予測を修正するベイス型コミュニケーション過程を考える。このとき、コミュニケーションーにおける情報の欠落には無関係にこの修正予灘はNash均衡解に収束する。」このコミュニケーション過程を確率微分ゲームの立場から分析し、ナッシュ均衡解の形成過程の動学的システムの数学的構造を解明するという段階までは研究が進んでいない。課題2について:「知識構造」に附随した非分割情報構造下での交換経済とそこにおける「期待均衡概念」および「事後コア概念」を導入し、経済取引人の合理性が共有知識となる条件の下では取引が行われないと言う「No trade theorem」を示すことに成功した。しかし、この経済均衡を達成する「価格形成プロセス」と「中間期コアの収束過程」の解明までは全時点では研究が進んでいない。<国際会議MTE2008>平成20年2月に「多段階意思決定問題における動学的な枠組による分析方法」の開拓推進をテーマとした研究集会MTE2008を茨城工業高専で開催し、上記の成果発表と同時に国内外からの参加者と情報交換、研究討論をいった。この会議での発表論文の全ては匿名の査読者による審査を受けたもので、会議論文集Proceedings MTE2008として公刊した。
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KES-AMSTA 2008, Lecture Notes in Artificial Intelligence, Springer, (2008) 4953
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Advances in Mathematical Economics, Springer 11
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庄司邦孝編著「代数、形式言語、計算システム理論とその応用」京都大学数理解析研究所講究録 No.1562
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COCOA 2007 Lecture Notes in Computer Science, Springer 4616
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