研究課題
ハミルトン流のnon-trapping性はシュレヂンガー方程式の解が平滑効果をもつための必要条件にもなっているが、さらにこの条件(non-trapping)は平滑化効果を超局所的に考察する場合も重要な働きをする。前年度に引き続き今年度も非線型の双曲型方程式、特に変形数を係数に持つキルヒホフ方程式に対する初期値問題および散乱問題を空間次元が1次元の場合と多次元の場合にそれぞれ違った方法で考察した。1次元の場合は初期データーが減衰する条件の下で、多次元の場合は方程式の係数に対応するハミルトン流がnon-trappingになる場合に、初期データーの積分可能条件の下で、初期値問題に対する時間大域解の存在定理、さらに波動作用素、散乱作用素の存在を証明した。ここで提出した積分可能条件は定理の証明を非常に簡素化し見通しよくした。ナビエストークス方程式の線形化方程式であるストークス方程式に対する半空間における初期値境界値問題の解の表示および解の評価、特に解のL^p評価、さらにL^p-L^q評価を導いた。ストークス方程式の解は熱方程式の基本解を用いて表示が出来るので、ストークス方程式の評価を得るためには熱方程式の基本解の評価を行えばよい。熱方程式に対する初期値問題が適切になるための条件は知られていて、いわゆる、ロパチンスキー条件と呼ばれているが、この条件にプラスしてさらにどのような条件が必要か興味ある問題である。今回、この問題に関して新たな条件の発見に成功した。
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Phase Space Analysis of Partial Differential Equations, Edited by Antonio Bove, Springer imprint Birkhauser Boston
ページ: 138-149