研究概要 |
非線形シュレディンガー方程式や非線形クライン・ゴルドン方程式は,非線形場を記述する基礎方程式として,物理学や工学において重要であるのみならず,数学的にも興味深い問題を含む.非線形場の方程式の解の中で,定在波解は,方程式が記述する物理現象と密接に関連する特徴的な解として,特に重要な特殊解である. 本年度は,三波共鳴相互作用項を含む非線形シュレディンガー方程式系及びクライン・ゴルドン・シュレディンガー方程式系の定在波解の軌道安定性及び不安定性について研究を行なった. 2007年9月に,ボルドー大学(フランス)に出張し,MathieuColin氏及びThierryColin氏と,レーザーとプラズマの相互作用を記述するザハロフ型の準線形連立方程式系を簡略化した,三波共鳴相互作用項を含む非線形シュレディンガー方程式系の定在波解の軌道安定性と不安定性について共同研究を行なった.単独の非線形シュレディンガー方程式の安定な定在波解から作られる,三波共鳴相互作用項を含む方程式系の半自明な定在波解に関して,三波共鳴相互作用係数が大きくなると,不安定化することを証明した. また,菊池弘明氏(京都大学)と,湯川型相互作用をもつ空間3次元のクライン、ゴルドン、シュレディンガー方程式系の定在波解の軌道安定性と不安定性について共同研究を行なった.振動数が十分大きい場合には,定在渡解は軌道安定であり,逆に,振動数が十分小さい擾合には,定在波解は不安定であることを示した.
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