研究概要 |
本研究では,放物型ベルグマン空間を中心として,それに付随して定義される放物型ハーディー空間も含めた解空間の解析,およびそれらの空間の上で定義される様々な作用素の解析を行うことを目的とする。 今年度は,放物型ベルグマン空間の共役調和関数について研究を行い,分数ベキ微分の概念を用いてそれらの解析を得ることを目指した。部分的な課題は残るものの,ほぼ放物型ベルグマン空間の共役調和関数の性質については明らかに出来たと考える。その成果は,2008年度秋の日本数学会において講演発表を行い,論文については投稿中である。 さらには,トェプリッツ作用素について,固有値を用いて定義されるS^{p}クラス(1≦p<∞)の特徴付けに関する研究を行った。これらは,単にS^{p}クラスの特徴付けのみに止まらず,より一般的にオーリッツ族へと拡張して研究を行った。この研究の成果も論文として投稿し,すでに受理されて出版予定である。 S^{p}クラス(1≦p<∞)の更なる研究として,p<1なる場合の特徴付けについても考察している。これを行うため,放物型ベルグマン空間における簡単な場合のアトミック分解の概念についても研究を行った。このアトミック分解の研究については,本研究を良い機会として,更なる発展の可能性を含んでいることが示唆された。p<1なる場合の特徴付けについては,トェプリッツ作用素を定義する測度のベルツィン関数や平均関数を用いて特徴付けられることが解った。ベルツィン関数を用いての特徴付けと平均関数のそれとは,部分的に同値であることも判明した。
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