研究概要 |
非線形のサイズ依存型個体数変動モデルに対する収穫問題ついて考察した。例えば収穫することにより、総個体数が減少するとその影響で死亡率や誕生率が変化し,個体数変動に影響を及ぼす可能性がある。この場合,一定の収穫率を保っていると収穫量を最大にできなくなるおそれがある。一定時間の収穫量を最大にするための収穫率を求めるのが最適収穫問題であり,それは応用面からも重要で,それを解析することは意義がある。収穫率が時間のみに依存する場合に,方程式を同等な方程式の系に変換することで正値解の存在と一意性を示し,その解の表現を用いることで,最適収穫率が存在することを国際雑誌J. Math. Anal. Appl. に掲載した。また収穫率が時間とサイズに依存する場合の解析は,国際雑誌J. Comp. Appl. Math.に発表された。そこでは,正値解の存在と一意性を示すとともに数値解析の結果も示された。 さらに、相互作用を持つ多種の生物系をモデルとするため,サイズ依存型非線形個体数変動モデルの系について考察した。このようなモデルを研究することは,より実際の現象を知る上で重要である。以前の研究では,成長率が各種で異なるものの時間とサイズのみに依存した場合を取り扱った。これに対し,成長率が各種で異なりしかも総個体数に依存するという非線形性を持つ場合を考察し,正値解の存在を示した。これは以前から得られていた結果を拡張するものであり,この結果は、ウィーン工科大学で開かれた国際会議にて発表した。
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