研究概要 |
以前の研究で線形のサイズ依存型個体数変動モデルに対して収穫量を最大にする最適収穫問題ついて考察し,最適収穫率の存在のための十分条件を得ている。ここでは逆に収穫率が最適であるための必要条件を示す最大値原理について考察し,最適制御が本質的に有限個の値しかとらないBang-Bangタイプであるための十分条件を与えた。それは応用面からも実際に最適制御を見つけるための指針を得るという意義があり重要である。この結果は国際誌Mathematical Population Studiesに掲載された。 次に,相互作用を持つ2種の生物系をモデルとするサイズ依存型非線形個体数変動モデルに対する最適収穫問題ついて考察した。2種の生物の間には競争系,捕食・被食系,共生系が考えられるがいずれの場合にも収穫による利益を最大にする最適収穫問題を研究することは,応用上より重要である。ここでは最大値原理を示すとともに最適制御の存在を示した。この結果は、米国フロリダで開かれた国際会議WCNA2008において発表した。 また,同じ非線形成長率を持つ多種生物系のサイズ依存型非線形個体数変動モデルに対して,その解が半群性を持つことを示し,さらに解軌道がコンパクトになるための十分条件を与えた。このことにより,解の漸近挙動を調べることができた。また,場所に依存するモデルとして拡散項を持つサイズ依存型線形個体数変動モデルに対する解の存在と一意性についての結果も得た。これらの結果は共同研究で得られたもので,日本数学会中国・四国支部例会において発表した。
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