研究課題
本年度は、走化性方程式の球対称な後方自己相似解と呼ばれる爆発解についての研究を行った。全空間を領域とする走化性方程式の球対称な後方自己相似解は、2005年の仙葉の論文の中で無限個発見されており原点が爆発点となる。さらに、爆発点における特異性については空間変数xの-2乗、つまり爆発時刻での原点における特異性は「定数倍×1/|x|^2」となっている事を明らかにした。この事を踏まえて本年度は以下の研究成果を得た。上記の論文で発見された無限個の球対称な後方自己相似解の特異性に対応する「定数」がどのような値なのかは不明であった。本年度の研究では「定数」を具体的に決定することは出来なかったが、それらは少なくとも無限種類ある事を明らかにした。このことにより走化性方程式の解として現れる爆発解たちの中に無限種類の特異性が現れる事が明らかになった。また、2005年の仙葉の論文で発見された後方自己相似解は領域が全空間である場合にのみ定義されるが、解の爆発は空間局所的なものであり領域が全空間でない場合も後方自己相似解と同様の爆発の遠さや特異性を持つ爆発解が存在すると予想している、この問題に対して本年度は、有限の半径を持つ球を領域とする走化性方程式の球対称な爆発解の中に後方自己相似解と同じ速さの爆発を起こす解があることを明らかにした。
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Nonlinear Analysis : Theory, Methods & Applications TMA 70
ページ: 2549-2562