1.「滑らかでない多様体間の調和写像型変分問題」のMorse流の構成は、値域多様体が非正曲率である場合については過去に得た結果がある。この結果において、値域多様体の滑らかさの仮定を緩和するには至っていないが、緩和に向けた試みとして一部、AlexandrovのNPC不等式による取り扱いを行っている。平成18年度は次の展開として、値域多様体の曲率が正の上限をもつ場合のMorse流の構成について研究してきた。離散Morse流について値域多様体の最大値原理を既に得ており、その過程でAlexandrovのNPC不等式を弱めたあるタイプの不等式が正曲率多様体上で成り立つことに気がついた。局所評価がまだ途上であるため、平成19年度も継続して研究を進めてゆく。 2.研究協力者、加藤伸幸氏とともにp調和写像流の構成を研究してきた。離散Morse流の方法による近似解について最大値原理といくつかの局所評価を得ており、平成19年度には論文としてまとめたいと考えている。 3.Navier-Stokes方程式については、研究協力者、菊池紀夫氏とともに、離散Morse流による近似解の局所・正則性解析に取り組んでおり、そのために必要な特異積分作用素および関数解析の専門的知識について、冨田直人氏中井英一大阪教育大学教授から教示を受けた。 4.研究分担者、三沢正史教授が非発散型の線形放物型システムについてのL^^q評価の結果を得、Electronic Journal of Differential Equationsに掲載される予定である。
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