研究概要 |
平成19年度,研究代表者正岡弘照は次を得た。 Green関数をもつ開リーマン面Fに対して,h_q(F)(q≧1)をF上の指数qをもつ調和Hardy空間とする。p≠q(p>1,q>1)のとき,h_p(F)=h_q(F)がなりたつための必要十分条件はある調和測度0のFのミニマルマルチン境界△_1の部分集合Nが存在して,△_1-Nの濃度が有限で,△_1-Nの各点が正の調和測度をもつことである。 平成20年度は研究代表者正岡弘照は平成19年度の研究を踏まえて,HD(F)をF上のDirichlet積分が有限な調和関数の全体とするとき,HD(R)=h_q(F)(q≧1)がなりたつための必要十分条件を考察した。すなわち q≠2のとき,HD(R)=h_q(F)がなりたつための必要十分条件はある調和測度0のFのミニマルマルチン境界△_1の部分集合Nが存在して,△_1-Nの濃度が有限で,△_1-Nの各点が正の調和測度をもち,△_1-Nの各点における調和測度が調和関数として,HD(F)要素であることである。 現在,q=2のとき,HD(R)=h_q(F)であって,正の調和測度をもつ△_1の点の全体の濃度が有限でないFの例が存在するかどうかは未解決である。しかし,q≠2のとき,HD(R)=hq(F)がなりたつための必要十分条件がマルチン境界の言葉で,hp(F)=hp(F)がなりたつための必要十分条件と類似の条件で与えられたことは意義深いことに思える。
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