本年度は、境界付き4次元多様体上のヤンーミルズ方程式のディリクレ問題に対するモース理論の研究と、4次元スピン多様体上のヤンーミルズーディラック方程式の弱解の正則性、および、この方程式の解の列の、共形変換で不変なエネルギーに関する、エネルギー量子化の問題に取り組んだ。 ヤンーミルズ方程式のディリクレ問題のモース理論に関しては、各連結成分における最小エネルギー解の存在-非存在については、1997年にほぼ完全な形で解決していたが、今回の研究では、非最小エネルギー解の存在、および、ある連結成分における多重解の存在を証明した。特に、解が同一連結成分で2つ(あるいは3つ)以上存在するための条件を、境界値に依存してきまるある行列の特異値とその行列式の符号に関する明確な条件として与えることができたことが、大きな成果である。 ヤンーミルズーディラック方程式に関しては、エネルギー有限な弱解の正則性を証明した。これは、既に知られている、孤立特異点の除去可能性定理を含むより一般的な結果である。つぎに、ヤンーミルズーディラック方程式の解空間のコンパクト性に関して、共形変換で不変なエネルギーに関して、エネルギーの量子化現象が起こる事を示した。これは今後、この方程式を関数解析的な変分法で取り扱う場合の基礎を成すものと考える。
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