研究概要 |
非線形放物型偏微分方程式のもっとも基本的なものであるAllen-Cahn方程式において,近年,多次元進行波の研究が活発に行われている.私は3次元空間におけるAllen-Cahn方程式に対して,角錐型の等高面をもつ進行波を構成することに成功した.この角錐型進行波は,進行軸に対して回転非対称な進行波の始めての例となる.この成果は,2006年の日本数学会年会応用数学分科会において特別講演として私は報告をし,論文としては,米国の学会誌SIAM Journal of Mathematical Analysisに掲載受理された.また同年6月にフランスのボアチエ大学で行われた国際研究集会AIMS2006においても報告を行い,F.Hamel氏,B.Lou氏,二宮広和氏,俣野博先生らと有益な意見交換および議論を行った. 二次元の全平面における曲率流方程式において,直線が漸近安定である必要十分条件が未知であったが,2006年に東京工業大学の奈良光紀君と私は,その必要十分条件を与えることに成功した.この成果は米国の学術論文誌Journal of Differential Equationsに掲載受理されている. 2006年12月に非線形数理冬の学校「発展方程式系の解の挙動」と題して,6名の最先端の研究者を東京工業大学に来ていただき,学部生および大学院生向けに講義を行っていただいた.この企画は明治大学の三村昌泰先生と東北大学の柳田英二先生と共同で開催した集中講義形式の学校であったが,開催された3日間に連日50名をこえる参加者が聴講に訪れた.参加者の一人が日本応用数理学会誌「応用数理」に参加記事を書いてくださっている.
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