研究概要 |
Allen-Cahn方程式およびNagumo方程式をふくむ多重安定な反応項をもつ拡散方程式において,3次元角錐型進行波の一意性および漸近安定性の証明に成功した.ある条件をみたす角錐にたいし,角錐型進行波が存在することは,2007年に私は証明したが,その一意性および漸近安定性は未知であった.本研究において,角錐型進行波は,角錐の稜線に沿って2次元V字型進行波に収束することを証明し,Xinfu Chen(1997)およびNinomiya-Taniguchi(2005)の手法をもちいることによりその一意性および漸近安定性の証明を行った.一定の条件をみたす角錐に対し,角錐型進行波が一意に定まることにより,「与えられた角錐に対する角錐型進行波」と呼ぶことができるようになった.安定性は詳しく述べると,与えられた擾乱が遠方で減衰するならば,擾乱は時間とともに消滅し,角錐型進行波はその元の形を復元することがわかったというものである. この研究成果により,私は国際学術雑誌"Discrete and Continuous Dynamical Systems-Ser A"の編集者の一人となった.また2010年5月にドイツで開催される国際研究集会"The 8^<th> AIMS Conference on Dynamical Systems, Differential Equations and Applications"において私は基調招待講演者7名のうちの1名に招待されている.
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