研究概要 |
本年度は無分散可積分系を中心に研究した。 ・近年、共形場理論とstochastic Loewner方程式(単葉関数論においてBieberbach予想などと関連して導入された方程式をstochasticにしたもの)の関係が注目を集めているが、その関連を可積分系の立場から考察しようという目標に向けて研究中である。ただ、現時点ではstochasticにする前のdeterminisitcなLoewner方程式との関係しか分かっていない。本年度はLoewner方程式から無分散系の解を構成する方法(Gibbons, Tsarev, Martinez-Alonso, Manasらの結果)の証明を無分散広田方程式を用いて簡易化した(Teo氏、Zabrodin氏との共同研究)。 ・多成分KP方程式系の無分散極限をdifferential Fay方程式の極限として構成した(高崎氏との共同研究)。 ・Coupled modified KP(cmKP)方程式系の解のmoduli空間がflag多様体上のベクトル束であることを示し、またその無分散極限を考察した(Teo氏との共同研究)。 また、共形場理論に関係してstochastic Loewner方程式と無分散可積分系の関係を研究中である。
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