研究概要 |
本年度の研究計画・方法は,これまでの直交多項式の理論と廣田のタウ関数の理論に関する研究成果を用いることで,離散可積分系と特殊関数に関する解析を行った. 1. 非自励離散戸田系列とその特殊解について 昨年度までの研究結果を基に,非自励離散戸田方程式の特殊解を他の戸田型離散可積分系に拡張することをこころみた.その結果、Lotka-Volterra格子,相対論的戸田格子方程式,R_I型格子,R_II型格子,FST格子への拡張に成功した.特にR_II型格子とFST格子に対しては,古典型の楕円超幾何関数で特徴づけられる解を与えた.これにより離散KPヒエラルキーとの関係が明らかになった. 2. 離散戸田格子方程式の楕円超幾何関数解による双直交ローラン多項式列の導出 離散戸田格子方程式のハンケル行列式解の特別な場合として,フロベニウス行列式で表されるものを与え,ここで得られた行列式解の楕円超幾何級数による表示を与えた.ここで得た特殊解から,双直交ローラン多項式列を導くことができ,対応する線形汎関数の単位円周上の積分による表示を与えることに成功した. ここで得た超幾何関数は,1で得た古典型とは異なるクラスであり,他の古典型双直交多項式との関連性も含め、これからのさらなる解析が必要である.
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