研究課題/領域番号 |
18540220
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
山口 勝 東海大学, 理学部, 教授 (10056252)
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研究分担者 |
松山 登喜夫 東海大学, 理学部, 教授 (70249712)
田中 實 東海大学, 理学部, 教授 (10112773)
楢崎 隆 東海大学, 理学部, 教授 (70119692)
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キーワード | suspended string / nonlinear equation / initial-boundary value problem / global solution / periodic solutions |
研究概要 |
昨年度に続き、吊り下げられた糸(suspended string(SSと略記))の非線形方程式の解の挙動について研究し次の諸結果を得た。 1.時間に独立な非線形外力と定数ポテンシャル項をもつSS方程式のDirichlet境界値問題を考察し、ポテンシャル定数がある種の数論的条件を満たすとき、parametrizeされた無数の時間周期解が存在することを示した。過去にこの問題について考察された論文はなくこれはSS方程式に対する全く新しい結果である。これは波動方程式に対して用いられたLyapunov-Schmidt分解を用いて方程式を、分岐方程式とそれに直交する方向の方程式に分解し、各々の方程式を解くことによって証明される。このとき後者を解くときにポテンシャル定数に関する上記条件が用いられる。上記parametrizeされた周期の集合は実数直線上でLebesgue測度ゼロで連続濃度をもつ(発表予定)。 2.1.と同タイプの非線形項をもつSS方程式に対する、空間に関する定常状態の近傍に、無数の周期解が存在することを証明した。このときの周期の集合は、実数直線上でLebesgue測度ゼロで連続濃度をもちかつ非有界である(発表予定)。 3.昨年度、非線形のSS方程式の初期値境界値問題を考察し、方程式が非単調な非線形外力をもつ揚合に、初期値に関するエネルギー有界性という条件の下で、この問題が時間に関して大域的な(globa1)"強解"(strong solution)をもつことを証明した。この結果を以下のように拡張した。初期値・非線形項の高階微分可能という仮定の下に、上記の解が時間空間双方について高階微分可能であることを証明した。証明は、解の時問に関する高次の導関数についてのエネルギー評価を示すことによってなされた。この評価を証明するために、重みをもつ一般化されたソボレフ空間において満たす汎用性のあるいくつかの不等式を証明した。またこれらの不等式を用いてMoser型の不等式を証明し上記エネルギー評価を得た。また、昨年度の研究によって得られたSS作用素に対する楕円型正則性定理を用いて解の空間方向の微分可能性を証明した(発表予定)。
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