研究概要 |
本課題では、2005年度すばるインテンシブプログラム(17夜観測、代表研究者:山田亨)によって得られたデータを用いて、SSA22(22h17m,+00°15′)領域の赤方偏移z=3.1(宇宙年齢約20億年)大規模構造の諸性質について観測的研究を行なっている。平成18年度は本課題によって整備した計算機環境(3テラバイトハードディスク等)を活用して撮像データの解析を行ない、上記観測領域に長さ100Mpcスケールを越える輝線銀河高密度領域(大規模構造)、及び直径数十Mpcの巨大ボイド(輝線銀河がほとんど存在しない広大な領域)を発見した。(これらの初期結果について平成18年9月の天文学会(九州国際大学)にて発表を行なった。)引き続き平成19年度は撮像データの詳細な解析を進め、中性水素ガスで拡がった天体(ライマンアルファブロッブ)を多数発見した。更に上記インテンシブプログラムによって取得したすばるFOCAS分光データの解析を行ない、100Mpcスケール輝線銀河高密度領域は、フィラメント状に銀河が分布する内部構造を持つことを明らかにした。このような構造・天体分布が、宇宙進化の標準シナリオであるコールドダークマター構造形成モデルによって自然に説明され得るか否かを、ミレニアム・シミュレーションなど、大規模宇宙構造形成シミュレーションと比較して分析を行なっている。
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