本研究は、太陽や天体でみられる活動現象、すなわち高温プラズマと磁場との相互作用が本質的物理であるような現象について理論的・観測的に理解することを全体的な目的とする。 本年度には、以下のような課題に取り組んだ。1.太陽浮上磁場によるエネルギー蓄積から、磁気リコネクションによる解放、その結果としてのバルクプラズマの加熱・放出現象を、3次元磁気流体シミュレーションの手法で研究した。成果は、Notoya et al.として現在執筆・出版準備中。2.RHESSI衛星やようこう衛星の硬X線非熱放射や、野辺山電波ヘリオグラフのマイクロ波非熱放射の観測データを駆使して、フレア粒子加速の物理機構にせまった。その成果をStepanov et al.(2007)として出版した。また理論的な補強をおこなうために、Fokker-Planck方程式による非熱粒子の時間発展を追うシミュレーションも行った。成果についてはMinoshima et al.として現在執筆中。3.かに星雲にみられるパルサー星雲はシンクロトロン放射でX線や可視光で輝いているが、そのためには星雲の運動エネルギーを効率よく解放する必要がある。エネルギー解放の素過程である相対論的磁気リコネクションについて、その相対論的度合いに対する依存性(Lorentz因子に対する依存性)を調べた。成果についてはWatanabe & Yokoyam(2006)として出版した。4.太陽フレアにおけるエネルギー解放機構である磁気リコネクションのエネルギー解放率について、ようこう・SOHO観測データをもちいて統計的に調べた。成果はNagashima & Yokoyama(2006)として出版した。5.2005年9月に発生した大規模フレア・プラズマ放出現象について多波長データ解析をおこない、その発生トリガ機構について調べた。成果はNagashima et al.として投稿中。6.銀河団X線高温プラズマについて、Alfven波による加熱を理論シミュレーションにより検討した。結果はFujita et al.(2007)として出版した。
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