研究概要 |
国立天文台との共同研究として同野辺山宇宙電波観測所構内に設置している60cmサーベイ望遠鏡の受信機を換装し、感度が大幅に向上し観測時間換算で10倍以上の性能向上が実現していることを測定によって確認した。この能力を有効利用するため、監視カメラの設置や各種装置の遠隔操作化を進め、分光器の較正など現地作業が必要であった操作の大部分についてインターネットを通じた遠隔操作可能とした。電源雑音対策の強化、望遠鏡回転部分の改良などを実行し、観測装置の安定性を大幅に向上させた。これら観測機器の更新とそれを用いた試験観測の結果を日本天文学会欧文研究報告に学術論文として投稿した。 大気状態が改善した秋以降には本格的な観測を開始した。太陽系近傍分子雲および銀河面のサーベイを2本柱として観測を進めた。太陽系近傍分子雲サーベイでは、主に、Aquila riftの中心であるSerpens領域15°×10°のほぼ全域にわたりビーム幅よりも密な間隔で^<12>CO(2-1),^<13>CO(2-1)の2輝線でサーベイした。他にも、L134など天球上での広がりが比較的小さな分子雲数個をマッピング観測した。銀河面サーベイは、b=0°について1=10°〜240°をビーム幅の半分より密な間隔で^<12>CO(2-1),^<13>CO(2-1)の2輝線でサーベイした。さらに1≦90°ではb方向へも観測を拡張した。 銀河中心領域については、60cmサーベイ望遠鏡によるCO輝線と同じ分解能を持つNH_3輝線観測を鹿児島6m望遠鏡によって実施した。これによって、60cm鏡によるCO観測で得られていた高圧領域は比較的低密度で高温であることを明らかにした。また、Central Molecular Zone全域にわたり分子ガスの方が塵よりも温度が高めであることを明らかとした。この結果をまとめて、日本天文学会欧文研究報告に学術論文として報告した。
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