研究課題
2009年度は本研究課題の最終年度であるため、これまでに調査してきた項目をまとめ、惑星形成理論についての示唆を完結した。まず、2009年初頭に米国で開催された系外惑星系についての国際会議において、私は惑星形成に関する新しいシナリオ(ハイブリッド・モデル)を提唱した。この講演についての諸外国の研究者からの手ごたえは十分あり、ひとつの新しい研究の方向性としてまとめることが急務であるため、これまでの研究の延長線上にある素過程の研究を続けることだけでなく、これまでの成果を組み合わせていくことに研究時間を割いた。特に、我々が世界的に先駆的な研究成果をあげている原始星の形成・進化の研究の延長として、原始惑星系円盤の形成・進化の計算をより推し進め、形成初期の大質量円盤の重力不安定性による巨大惑星形成のシナリオを確立させた。この研究が上述の惑星形成ハイブリッド・モデルの骨子となり、すでに調査してきた円盤内での素過程の研究と組み合わせて、現実的な惑星形成シナリオを構築することができた。また、前年度末に米国天体物理学会誌に発表した円盤磁気乱流の帰結としての円盤ガス蒸発流が円盤進化に与える影響を調べた。これらの研究は解析的な手法と数値シミュレーションを組み合わせて行った。研究経費は主に、研究成果発表のための旅費と出版費に使用した。
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