1.相対論的ジェットの見かけの構造は輻射の伝播速度とジェットの運動速度にわずかな差しかないことから、ジェットの縦方向および横方向の構造、時間発展に仕方に複雑に依存している。相対論的に運動する有限の大きさをもった輻射領域を考え、電子の冷却時間の差を考慮すると、X線、可視光、電波でのノット位置の系統的なずれを説明できることを示した。 2.ジェット中の磁場の向きと観測される偏光ベクトルの向きの関係が相対論的運動によってどう変化するかを解明し、偏光ベクトルの向きが放射領域の固有系での磁場の天球面内成分に垂直であることに基づいて、偏光角の統計的性質を調べた。ジェット軸に沿った偏光角が卓越するためには、ジェット固有系においても磁場の向きは運動方向にたいし垂直な成分が優勢でなければならないことを明らかにした。従来のヘリカル磁場モデルの偏光角にたいする予言は対称性の制限が結果を決めているので、非対称性を加えた場合の偏光角のモデル計算を行った。 3. 無衝突衝撃波による電子加速過程を検討した。イオンビームが存在する状況のもとでのプラズマ不安定を検討し、二次元的なブーネマン不安定やイオン音波不安定の性質を調べた。電子温度が高い場合には従来調べられてきたイオン音波不安定よりも、イオン二流体不安定の成長率が高いことを発見し、粒子シミュレーションでも確認した。この結果電子の加熱が制限され、従来の電子過加熱問題を回避できることを示した。
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