研究課題
基盤研究(C)
ブラックホール降着流や亜光速宇宙ジェットそしてガンマ線バーストなど、きわめて高エネルギーの宇宙現象を解き明かすためには、相対論的輻射流体力学は相対論的磁気流体力学と共に、非常に重要な手法である。しかしながら、相対論的磁気流体力学が定式化され実用に供されているのに対し、相対論的輻射流体力学は定式化がまだ不完全で、基礎過程自体に研究すべき点が多々残っている。本研究では、相対論的輻射流体力学の定式化に対して、(A)新しい提案を含んだ定式化を行うと同時に、(B)宇宙ジェットなど高エネルギー亜光速流に対して応用を試みようとしている。まず初年度では、(A)亜光速領域で病理的な特異性を残していた従来の定式化に対して、速度に依存する変動エディントン因子を用いることによって、低速領域から光速まで連続的に解ける新しい定式化を示した。その際、平行平板近似と球対称とでは、異なる変動エディントン因子を提案した。さらに、具体的に、降着円盤から鉛直方向に吹き出る流れに対しては平行平板近似を用いて、(B1)重力やガス圧が無視できる場合、(B2)重力を入れた場合、そして(B3)重力もガス圧もある場合について、輻射圧で駆動される相対論的降着円盤風を円盤赤道面から光学的厚みが0の円盤風先端まで解くことに成功した。またブラックホール風に対しては球対称近似を用いて、やはり、(B4)重力やガス圧が無視できる場合、(B5)重力を入れた場合、そして(B6)重力もガス圧もある場合について、輻射圧で駆動される相対論的球対称風をシュバルツシルト半径の近傍から光学的厚みが0の風先端まで定常解を求めることに成功した。これらの研究と平行して、(C)このような相対論的風中での輻射輸送問題にも取り組んでおり、予備的な結果を出しつつある。輻射輸送について無矛盾に解くことによって、変動エディントン因子の形も自動的に定まるはずなので、それらは次年度以降の課題になると考えられる。
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