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2008 年度 実績報告書

銀河団ガスの乱流による統計的粒子加速と非平衡放射過程

研究課題

研究課題/領域番号 18540241
研究機関首都大学東京

研究代表者

政井 邦昭  首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (80181626)

キーワード宇宙物理学 / X線天文学 / 天文 / 銀河団
研究概要

最終年度であることから,統計的加速の理論研究をさらに進めるとともに,銀河団について現状でのまとめを行った.加速素過程の研究では,生成される準熱的粒子の分布がバックグラウンドの熱的粒子にどのように依存するか,温度kT=0.3-1.0 keVの範囲のMaxwell分布について調べた.その結果,何れの温度でも普遍的に,バックグラウンド粒子の5倍程度の温度のMaxwell分布で近似される準熱的粒子が形成されることが確かめられた.このことは,加速された粒子が共存する場合の非平衡放射計算を近似によって簡単化できる可能性を示しており,この手法による高分解スペクトルに関する論文を準備中である.また,最近の銀河団の観測からは以下のような知見が得られる:Mpcスケールの電波ハローをもつ合体途中の銀河団は40を超えるが,非熱的X線放射の報告は同一検出器による13例のみで未だ有意な結果とは言い難い.電波ハローは一定期間だけ活動しており,大規模な銀河団合体で加速された電子によるものと解釈するのが自然である.電波放射とX線放射ガスの温度には相関が見られ,合体は加速だけでなくガスの加熱にも効いていると考えられる.以上の結果は本研究課題の見通しどおりであるが,バックグラウンドの熱的電子を高エネルギー電子の種としてきた本研究に対し,観測的研究からは,過去に加速された高エネルギー陽子衝突による2次電子が種となる可能性も示唆される.これは今後の研究で考慮すべき点である.また,本研究では超熱的粒子の生成過程を調べてきたが,一度生成された高エネルギー電子の時間発展が解釈の争点になっている.今のところ理論計算でも,非熱的成分は残存する/消滅して加熱に効く,との全く対照的な結果が出されており,生成過程から整合的に時間発展を追うことで決着をつけることも今後の課題である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Evidence for Resonance Line Scattering in the Suzaku X-Ray Spectrum of the Cygnus Loop2008

    • 著者名/発表者名
      E. Miyata, K. Masai, J. P. Hughes
    • 雑誌名

      Publ. Astron. Soc. Japan 60

      ページ: 521-526

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Lx-T Relation and Thermal Evolution of Galaxy Clusters2008

    • 著者名/発表者名
      N. Ota, T. Kitayama, K. Masai, K. Mitsuda
    • 雑誌名

      Chinese J. Astron. Astrophys. Suppl. 8

      ページ: 84-92

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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