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本研究の目的は、宇宙論を実験的に検証する道を切り開くために、実験室で初期宇宙の状況を再現する方法を理論的に考案することである。また、その理論モデルによって、量子重力理論の定式化ついて検討することができる。今年度の研究成果は次の2つである。
1 振動する泡から宇宙を作るモデル構築
(准)定常状態から古典的過程のみでインフレーション宇宙ができるモデルを構築した。偽真空泡の表面物質が2成分から成り、一方が面密度一定(ドメインウォール型)で、他方の面密度が表面積に反比例(ダスト型)し、うちいずれか一方の符号のみが負であるとき、まず定常的に振動する泡の解が存在すること、そしてその質量が動的に減少すると、インフレーション宇宙に転移することがわかった。
2 素粒子的ソリトンの安定性とカタストロフィー理論
実験室で宇宙を作るモデルでは、偽真空泡やモノポールという素粒子的ソリトンを初期条件として仮定する。そこで、素粒子的ソリトンの安定性を判定する一般的方法として、カタストロフィー理論の有効性を検討した。その結果、重力を含まない系だけでなく、重力を含む系でも、カタストロフィー理論によって安定性を判定できることがわかった。
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