研究課題/領域番号 |
18540251
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
近藤 慶一 千葉大学, 理学部, 教授 (60183042)
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研究分担者 |
柴田 章博 高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 講師 (30290852)
加藤 清考 高松工業高等専門学校, 一般教育科, 講師 (50342564)
伊藤 祥一 長野高等専門学校, 電子情報工学科, 助手 (10369978)
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キーワード | クォーク閉じ込め / 磁気単極子 / 真空凝縮 / ヤン・ミルズ理論 / 量子色力学 |
研究概要 |
1.格子上のYang-Mills理論の新しい変数を用いる定式化を提唱し、それを用いてゲージ不変な磁気モノポールを構成する手続きを与えた。実際、それに基づいて、数値シミュレーションを実行して、結果として得られた磁気モノポールが期待される量子化条件を満たす磁荷を持つことを示した。また、Wilsonループ期待値を計算し、磁気モノポールの寄与が面積則を導き、対応する弦定数の90%を再現すること、つまり、モノポールドミナンスを示した。 2.Yang-Mills場の非線形変数変換によって、Yang-Mills場を、Wilsonループ期待値に直接効く自由度とその残りの自由度に分離することに成功した。残りの自由度は、自己相互作用に起因する質量次元2の真空凝縮を生成することで、動力学的質量を獲得した結果、低エネルギーで寄与しなくなり、アーベリアンドミナンスが理論的に導かれることを示した。この結果はYang-Mills理論における質量ギャップの存在を示唆する。また、この真空凝縮の効果で、従来のSavvidy型の磁気的真空のNielsen-Olesen不安定が取り除かれることも示した。これは、クォーク閉じ込めの機構として双対超伝導描像の正しさを裏付けるものである。 3.Faddeev模型と呼ばれる非線形シグマ模型の位相的ソリトン解である結び目ソリトン解を求め、その周りで集団座標量子化を行ってハミルトニアンを求め、そのエネルギースペクトルを求めた。これをグルーボールの質量スペクトルと同一視することで、非線形変数変換で再定式化したYang-Mills理論との対応でFaddeev模型に現れる2つのパラメータを決定した。これによって、Faddeev模型がYang-Mills理論の低エネルギー有効理論として有用であることを示唆した。質量次元2の真空凝縮存在の間接的証拠が得られた。
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