研究概要 |
伊藤は、超弦理論におけるDブレーン上の低エネルギー有効理論である超対称ゲージ理論へのRamond-Ramon背景場の効果について、場の理論および超弦理論の見地から研究を行い以下の新しい結果を得た。(1)R-R背景場の中で特に重力光子による背景場は,Dブレーンの世界超空間上において非反可換性として現れる。N=2およびN=4超対称ゲージ理論における重力光子背景場による変形効果を超弦理論により計算し、最低次で非反可換超空間の計算と一致することを示した。(2)R-R背景場を分類し非反可換超空間で表せない新しい変形が存在することを示した。(3)非反可換N=2超対称ゲージ理論において非反可換性の量子効果が超対称代数の変更として現れることを始めて示した。 稲見は、i)extra dimensionの物理とii)ヒグス粒子の物理(と数学)について,ゲージ理論における非摂動計算,ゲージ理論と弦理論における新しい考え方と方法の提案などにおいて研究が進み,具体的な結果が幾つか得られた. 特に 1.高次元理論・弦理論における量子効果の計算と宇宙論への応用(稲見と外国の研究者との共同研究が進んでいる). 2.AdS/CFT対応とホログラフィの考え方をQCDに応用し,バリオンの模型を提案した.核子共鳴のスペクトラムが計算できる.標準模型を越える模型への応用も模索中. 3.新しいタイプの超対称性場の理論を作り,その非摂動的な性質(インスタントン,可積分性)を調べた. 4.6次元超対称なヤン・ミルズ・ビッグス系から出発して,次元縮約により,低次元のゲージ理論が得られる.それらの理論に含まれるソリトンの可積分性を調べた.
|