素粒子の標準理論には物質粒子のフレーバーの構造(その種類の仕組み)を決めている湯川相互作用を決定する原理が欠けており、このため、クォーク・レプトンの質量とその混合(小林・益川のクォーク混合と牧・中川・坂田のニュートリノ混合)の構造を決められない。また、標準理論のHiggs粒子の質量補正が2次発散をしているということ、Higgs場の自己相互作用が漸近自由ではないという二つの理論的事実から、標準理論はFermiエネルギースケールの約10倍以上では理論的・数学的に意味をなさないものであるということも知られている。当研究では、非可換有限群に基づくフレーバー対称性、特に、超対称標準理論への導入を試みた。フレーバー対称性はhardに破れていると、実験的に検証可能な定量的予言を行うのが難しくなる。このため、底エネルギーで(場の量子論的に)hardに破れていないフレーバー対称性に注目してきた。特に、B Factoryの実験における、フレーバー対称性の検証可能性について調査を行なった。また、有限群Q6に基づくフレーバー対称を超対対称模型に導入することを試み、超対称フレーバー問題を柔らげることができることを指摘した。また、離散群に基づく対称性の量子異常についての研究も行った。
|