本研究の目的は、高次元時空に基づいて素粒子の性質や法則を解明することにより標準模型を超える現実的な理論を発見し、宇宙の謎を解き明かすことである。 研究計画の1つとして「余剰空間を有する時空上で標準模型を超える現象論的に優位な模型の構築とその起源の探究」を掲げた。これに対して、オービフォールドを余剰空間として含むゲージ理論について、様々な2次元オービフォールドに関する場の境界条件の分類を行った。分類された境界条件に基づいて細谷機構などの量子効果を取り入れることにより、模型が取捨選択される可能性がある。また、宇宙のトポロジーの解明に役立つ可能性もある。 研究計画の1つとして「余剰次元に基づく標準模型の起源や宇宙の起源の探究」を掲げた。これに対して、「通常のボソニックな空間のほかにゴースト的なグラスマン座標を有する空間を余剰空間として含む拡張された時空上で力の大統一が実現され、余剰次元の構造を反映した高い対称性に関する非物理的なモードを消去することにより、標準模型あるいは超対称性標準模型が導出される」というシナリオを簡単な模型の提示とともに提案した。また、拡張された時空構造(=初期宇宙の構造)の起源に関する少し異質なアイデアの提案も行った。 大統一理論の問題点の1つである「陽子崩壊の抑制機構の解明」に対して、リフシッツ型のゲージ理論に基づく解決法を提案した。このような模型では、高エネルギーで時空構造が転移する可能性があり、研究対象として興味深い。
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