研究概要 |
本研究は、現実的クォーク模型バリオン間相互作用であるfss2やFSSを用いて軽いΛハイパー核のFaddeev計算やBrueckner理論に基づく詳細なG-行列計算を行い、ハイパー核やハイペロン・核子相互作用の新しい実験データとの比較検討を通じて、より正確なハイペロン・核子相互作用やハイペロン・ハイペロン相互作用の理解を得ることを目的とする。今年度の成果として、まず任意の8重項バリオンB_8=N,Λ,Σ,三についてFSSとfss2を用いた対称核物質における完全なG-行列計算が可能になった。更に、今回新しく開発したfoldingの手法を用いてB_8α,B_8(3N)間のBorn kernelが計算され、Lippmann-Schwinger formalismとWigner transformの方法を併用して、fss2やFSSの予見するこれらの相互作用が詳しく調べられた。この方法では、G-行列の取扱いで重要なstarting-energy依存性と2バリオン間の重心運動量を正しく扱うことが可能である。これによりAハイパー核では、LS力を含めて従来のFaddeev計算によるFSSとfss2のΛN相互作用の特徴を再現すると同時に、Σα相互作用の強い斥力やΞα相互作用の弱い引力的特徴を明かにした。同様な手法を用いて、クォーク模型G-行列相互作用を用いたnα.RGMを行い、S-波とP-波の位相差は非常に良く再現されることが示された。このことは、G-行列で処理した現実的クォーク模型バリオン間相互作用は適当な中心力とスピン・軌道力を与えていることを示している。
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