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2007 年度 実績報告書

ローレンツ不変性の破れの可能性とその宇宙論へのインパクト

研究課題

研究課題/領域番号 18540262
研究機関京都大学

研究代表者

早田 次郎  京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00222076)

キーワード原始重力波 / インフレーション / ガウス・ボンネ / 円偏光 / 不安定性 / 超弦理論 / チャーン・サイモン
研究概要

本年度の研究計画はスカラー・ベクトル・テンソル理論におけるポスト・ニュートン近似と重力波に関する研究をする予定であったが、残念ながら別なグループによってこの問題は解決されてしまった。そこで、本年度はローレンツ不変性の破れの宇宙論的な効果として重力波への影響を調べた。我々が着目したのはパリティー変換である。超弦理論理論では重力的チャーン・サイモン項が有効作用に誘起されることが知られている。この項はパリティー変換に対する不変性を破る。パリティー不変性が破れた場合には重力波に円偏光が生成される可能性がある。我々は、初期宇宙におけるローレンツ変換の不変性を調べるために原始重力波に対するチャーン・サイモン項の影響を調べた。これまでスローロールインフレーションにおいてこの可能性を調べた研究はあったが結果は否定的なものであった。我々は、超弦理論から示唆されているもう1つの補正項であるガウス・ボンネ項を加えた場合について、原始重力波の生成過程を詳しく調べた。ガウス・ボンネ項はスーパーインフレーションを引き起こす。その結果、ガウス・ボンネ項が生み出す不安定性によって重力波の円偏光が増幅されると言う事実を発見した。この現象にはチャーン・サイモン項とガウス・ボンネ項の両方が重要な役割を果たしており、両方に着目した点が我々の研究の独創的な点である。我々の計算結果によると、振幅も増幅しており、直接観測も十分可能であることが分かった。これは、超弦理論の兆候を重力波の観測によってとらえる可能性を示唆するものであり極めて重要な成果と考えられる。現在、この機構の一般性について研究中であり、さらなる成果が期待される。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Circular Polarization of Primordial Gravitational Waves in String-inspired Inflationary Cosmology2008

    • 著者名/発表者名
      M. Satoh
    • 雑誌名

      Phys. Rev. D77

      ページ: 23526

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Fate of Kaluza-Klein black holes: Evaporation or excision?2007

    • 著者名/発表者名
      K. Murata
    • 雑誌名

      Phys. Rev. D75

      ページ: 104017

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Kaluza-Klein braneworld cosmology with static internal dimensions2007

    • 著者名/発表者名
      S. Kanno
    • 雑誌名

      Prog. Theor. Phys. 118

      ページ: 701-713

    • 査読あり

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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