研究概要 |
本年度の研究により得られた成果は次の通りである. 1.高次元ブレーンワールドブラックホール解の摂動論的構成:4次元ブレーンワールドワールドモデルでのブラックホール解とのアナロジーから,"ひも"により加速される高次元ブラックホール解(の小質量極限)を球対称解の線形摂動として構成し,それがブレーンブラックホール解を与えるための条件をひもの張力分布に対する方程式として与えた.それを用いて,4次元ブレーンワールドモデルでは(小質量極限で)既知解以外に無限個のブラックホール解か存在すること,4次元と異なり5次元以上では,(もし存在するなら)ブレーンブラックホールを与えるひもは張力が一様でないという興味深い結果を得た.この成果はProg.Theor.Phys.誌に掲載された. 2.高次元回転ブラックホールの安定性:7次元以上の時空における回転ブラックホール解において,角運動量が1成分の場合にテンソル型摂動か自由スカラ場の方程式と一致し変数分離可能である.このことを用いて,負の宇宙項がある場合について,回転ブラックホールの安定性を解析的手法と数値計算を用いて調べ,回転角運動量がある臨界値を超えると不安定となることを示し,そのメカニズムを明らかにした.この成果はPhys.Rev.D誌に掲載された. 3.Repulsonの構成:U(N)対称性をもつ(2N+1)次元真空回転ブラックホール解の内部構造を調べ,質量が負の解から適当な周期的同一視により(局所)漸近平坦で因果律の破れを伴う正則ソリトン解を構成した.この結果は,Prog.Theor.Phys.誌に掲載予定である.
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